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ポジションを科学する

BIG machineの最新号で同名の特集があったので、触発されて僕も普段の思いを書くことにしました。

その記事の中で和歌山利宏氏が「大きなライダー用にセットされたポジションでも、それが正しいものなら違和感を感じる事は無い」みたいな事を書かれていました。しかし、和歌山氏は僕より小柄(確か162cmくらい)の人なので、ビックバイク(特にSS系)に乗っている写真を見ると、失礼ながらバイクにしがみ付いているような、余裕の無さを感じるのです。それなのに「(大柄なポジションでも)違和感が無い」というのは、ちょっと首をかしげてしまいます。

考えてみてください、車はシートの前後位置やステアリングコラムの角度などを調整できますし、スポーツ自転車は幾つかのフレームサイズが用意されているし、シートの高さも調整出来ます。このように、乗り手の体格に合わせてポジションを調整するのはスポーツライディングの基本とされています。

ところが、バイク(モーターサイクル)は一車種ワンサイズで、調整できる箇所も無きに等しいです。もちろんバイクは座る位置にある程度自由度がありますが、大抵のビックバイクは大抵の日本人にとっては大柄なので、実際にはシートの前の方にしか座れないのではないでしょうか。

自分の話をしますと、Z750はハンドルが遠すぎる事はありませんが、シートが高すぎて腰高感はあります。ここでは、足つき性の事を言っているのではなく、運動性能上の話です。リーンでは異様に高い位置からドカッと倒れこむような感じだし、ノーズダイブで体がつんのめる感じもあります。

理由はおそらく簡単で、僕の座高が高いのにそれが高いシートに座ったら全体の重心が高くなりすぎるからでしょう。シートを高めに設定するのは、バイクの重心からより離れた作用点の方が、バイクを軽くリーンさせられるからですが、それも程度の問題です。Z750はヨーロッパ人の体型を想定していると思われ、中でも女性を含めた中くらいから少し下の身長を狙ってるかもしれません。だったら日本人男子の身長に近いって?胴と足の比率が全く違うのですよ!判りますよね?

体型によるポジションの違い

図1:理想の体型のライダー

Gr1の位置は適度。

図2:胴長のライダー

Gr2の位置が高すぎる。

図3:全体に小柄なライダー

Gr3の位置は低め。

ここで、ライダーの体型(太ってるか痩せてるかではない)とライディングポジションについて、幾何学的に考えてみます。右の図は同じバイクに違う体型のライダーが乗って比較したものです。

ハンドルグリップ、シッティングポイント、ステップオレンジの●で示します。シッティングポイントも話を単純化するためにとりあえず同じにしています。黒い(Gb)バイクの重心です。つまりバイクは同じなので、オレンジの●と●Gbの位置は全て同じです。

一方、緑の●(Gr1〜Gr3)は各ライダーの重心です。体型が違うのでそれぞれ違う位置にあります。

図1:理想体型のライダー

胴体や手足の長さが理想的(バイク設計上の想定どおり)のライダーが乗ったところとします。上体は適度な前傾で腕にも余裕があり、ライダーの重心も適度な位置にあります。また上体に余裕があるので、伏せたり起きたり、後ろに座ったり前に座ったりと、Gr1の位置を自由に替える事が出来ます。

図2:胴長短足(腕も短め)なライダー

胴長短足(足が短い人は大抵腕も短い)のライダーが乗った所です。見るからに情けないポジションを見よ!(段々自虐的になってきた)

胴長なので当然ライダーの重心位置は高くなります。また、腕が短いので肘の曲がりに余裕はなくなり、頭の位置は少し前のめりになります。つまり、と比べて高すぎ、且つ若干前の位置になります。また、Gr2とGbの位置が離れているので、バイクへの入力は楽かもしれないが、バイクとライダーの一体感は少なくなるでしょう。

前傾度合いは腕と胴の長さが相殺されて、理想ライダーとあまり変らないかも。ただし、腕に余裕が無いため前後の重心移動しにくいでしょう(腰を後ろにずらす事は出来るが、頭の前後位置は殆ど変えられない)。

短足なのは大きくハングオフできない等の弱点が考えられますが、今のGPマシンやSSの傾向はあまり体をバイクからオフセットしないので、さほど問題にならないでしょう。

図3:全体に小柄なライダー

最後は手足も胴も短い、非常に小柄なライダーが乗った図です。上体は深く前傾し、腕にも余裕がありません。当然Gr3は前後にも上下にも殆ど移動できません。ライダーはバイクに密着する形になるので、Gr3は低い位置になります。

Gr3とGbが近いと言うことは、ライダーがバイクとの一体感を得やすいが、バイクへの入力と言う意味では重くなります。

この図を見ると、和歌山氏が「シート高は高い方が、積極的にライディングできる」ような事を書いていたのを思い出します。小さい人は重心が低いので、高い位置に座らないとバイク+ライダーの重心高さが確保できないのです。

確かにMotoGPのビアッジなんかもこう言うイメージです。ジベルノーよりハンドル手前にするとか、シートを下げているようには見えません。そういう意味では和歌山氏の「大柄なポジションでも違和感は無い」というのは嘘ではないのかもしれません。

しかし、繰り返しになりますが、それではポジションの自由度(重心移動の自由度)は非常に限定されます。もっとも、サーキット走行では、そんなに体重移動は必要無いのかも知れません。しかし、公道では様々な場面が予想されるので、モトクロスとまでは言わないまでもモタードやダートラ位の自由度が欲しい気がします。

そこで、次回はライダーの体型にバイクを合わせるとどうなるか?を考えてみいと思います。

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