バイクインプレNEO by MCタイチ

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250 Duke (KTM)

イントロ

昨年発売された事実上の日本向け排気量のDuke。年明けにKTM神戸で試乗したが、例によってローダウン仕様だったので、4月の試乗会で初めてノーマルの車両に乗ることができた。よってここでは、両者を統合したインプレとして大幅に加筆・修正した。

流石に125と同じ200のシリンダブロックを更に50cc拡大するので無理なので、よって残念ながら390と同じ重量。さて結果や如何に?

ポジション/足つき/取り回し

ポジションは上体がほぼ直立した、モタードとネイキッドの中間的なもの。同クラスのネイキッドとしては前傾が強いZ250SLは勿論、Z250やMT25と比べてもアップライトだと思う。

ローシャシはノーマルより何と80mmも車高がダウンしているので、流石に足つきはベタベタ。ただそれでもシートの角が硬くて、おしりというか足の付けにに食い込んでくる。しかもこのシート自体がまたKTM神戸特製で、ノーマルより角が丸まってるという。するとノーマルシートでノーマルシャシ(ノーマルシート高)だったら、一体どんだけ食い込んでくるのか(*_*;?

…と心配したがノーマルでも全く問題なかった。僕が乗った状態でのシート高はローダウンと80㎜も差があるようには思えない。シートもノーマルの方が柔らかく、角が取れてるように感じた。だから、日本人男性の標準体格くらいあれば、ノーマルで十分コンパクトで取り回しが良いマシンだと思う。

あとブレーキだが、KTM神戸の試乗車は停止の少し前、30km/hくらいでキーキー泣いた。初めて乗ったライダーだけでなく、恐らく周囲の通行人もビクッとするくらいの音量。しかし何故か試乗会の車両は全く泣かなかったので、個体差なのか暖気度合いなのか、あるいはこっそり対策したのかは判らない。

パワートレイン

Duke390のボアダウンエンジンなので390と同じ重量、なのに排気量が140ccも少ないからさぞトロいかと思いきや、良い意味で予想が外れた。

低速トルクは200Dukeより明らかに上で、出だしで無造作にアクセルを開けると体が置いて行かれるほどの駆動力がある。一方、50km/hくらいで4000rpmくらいだと失速したように加速しない。ここから想像するに、1-2速(あるいは3速?)まではかなりギア比が低く、逆にその上のギアはハイギアードなのではないか?

エンジン自体は高回転型だと思うが、とにかく回転がスムーズなので、低速ギアでは直ぐに回転が上がってしまいドン付き気味。中速ギアでは下手をすると失速するが、もう少し回すだけで元気に加速。そして、5-6速に入れてしまえばとても平穏に巡行できてしまう、ということだと思う。

これは、6速-70km/hで既に頑張って回ってる感じの200Dukeとは大違いのパワーと快適性。そればかりか、ギア比的には更に高い390と比べても、振動が少ない分体感上の回転数は250の方がむしろ低いように思えた。

他社と比較すると、ツインなのにどこかガサツで低速モッサリなR25やNinja250より明らかにストレスが少ない。意外と良く回るNinja250SL/Z250SLのシングルエンジンと比べると、力強さは同等だと思うが、250Dukeの方がスムーズでトップエンドのの伸びも良いと思う。

ハンドリング/乗り心地

ハンドリングも超軽快な200Dukeとは打って変わって、意外とネットリ感があってやや鈍重。Z250SLと比べてもリーンが重く、良くも悪くも安定志向だ。とはいえ車体自体は軽いので、Ninja250みたいな岩のような頑固さではなく、ジオメトリあるいはタイヤの特性による粘り感だと思う。だから、軽快感よりも路面との対話を重視したハンドリングと解釈でき、これはこれで嫌いではない。

さてノーマルとローダウン仕様の比較だが、意外にもハンドリングの重さはあまり変わらなかった。違うのは乗り心地で、ローシャシは突き上げというほどではないが、ギャップを拾ってゴツゴツ・ユサユサするのに対し、ノーマルにはそのような感じは無かった

因みにこのローシャシーの仕組みは、フロントもリアもスプリング長は同じだが、フロントはフォーク内部のカラーを短くし、リアはユニット下端のピボット部分がより短いパーツに変更されているとのこと。つまり、前後ともプリロードを限界より更に抜いたのと同じ状態=車高が下がるということらしい。

さらに試乗車は、プリロードを最弱にしてたらしいので、体重80㎏の僕が乗れば相当尻下がりの姿勢になっていると思われる。また、この個体はどうだか確認してないが、ローシャシにはノーマルよりバネレートが低いスプリングが組み合わされることが多い。

これらの条件により、僕の場合跨るだけで2段レートのスプリングの柔らかい方を使い切ってしまい、突き上げ感につながったのかもしれない。因みにスイングアームはリンクレス。また、物理的には重心が下がるほど路面からの入力に対して姿勢変化が大きくなるから、その意味でも乗り心地には不利。

総合評価

200Dukeの軽さは素晴らしいが、トルクがないのかギア比が低すぎるのかちょっと回りすぎな感じ。一方、390Dukeのパワーは捨てがたいが、車検費用(外車だから購入時にもかかる)の負担は結構重い。

というわけで、250枠をフルに使ったDukeが待ち望まれた訳だが、本来想定してなかった排気量に無理やり合わせたバイクは、得てしてバランスが悪く、ヘタすると小排気量の非力さと大排気量の重さを兼ね備えたものになってしまいがち。そう考えると、この250Dukeの出来は数少ない成功事例と言って良い仕上がりだと思う。

排気量アップに伴い、トルクだけでなくパワーも200の26hpから31.3hp(数値の細かさが正確さの証?)へシッカリ向上しているし、体感上もそれ相応かそれ以上に違う。更にギア比をロングにすることで、巡行時の快適性が200とは比べ物にならないほど向上している。ハンドリングは良くも悪くも安定志向になっているが、余裕のあるエンジンとの組み合わせで、よりツーリング適正は向上しているだろう。

ただ不満なのは、発売当初は日系250よりお買い得に思えたリトルDukeのお値段も年々微妙に上がっていき、今や最新のライバルと肩を並べるように55万円。おまけに見積もると、外車だから納車諸費用が8万円と高く、値引き0なので総額65万円と出た。まあ、販売店の選択支が最高級のKTM正規ディーラーにほぼ限られるというのが、KTMのみならず外車全般の難点ではあるが。

尚、上述のローダウン仕様は、かなり小柄で体重の軽い人向きという感じ。大体費用が確か20万円くらいかかり、大型バイクが買える値段になってしまう。大体そんなに出せる人が維持費の安い250に拘るとも思えないし。

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