バイクTOP MCタイチTOP BBS

mctaichi Motorcycle
drz

バイクTOP(その他のメニュー)

クルマ・バイク工学

電動アシストターボは有りだと思う

○公開:2013-01-31 ○修正:2013-03-25

エンジンを小さくして過給すると効率が良くなるという話を、ディーゼルターボに関する記事に書いたが、今回はその過給方法について考えてみた。

スーパーチャージャーの問題

スーパーチャージャー(SC)はエンジンが回り始めて直ぐ過給が立ち上がるという点でターボ(排気タービン過給器)に勝る。しかし、エンジン動力の一部を使ってコンプレッサーを回すので動力損失がある。また、高回転域では過過給によりノッキングを起こすため、点火を遅らせるかクラッチでSCを切り離してしまうしかない。

日産ノートのSCのように高回転域以外でも負荷に応じてクラッチを断続する事も可能だが、乗ってみると断続が分かるし全体的に騒がしく落ち着きに欠けた。下手をすると、過給される実燃費はあまり良くないが無過給になるモード燃費は稼げると言った、スペック燃費チューンの道具になってしまう可能性もある。

電動アシストターボとは

その点、ターボは本来捨てている排ガスエネルギーを再利用できるという点で効率的だ。しかし弱点は過給遅れ(ターボラグ)で、これはアクセルレスポンスが悪いだけでなく、過給が始まるまでは低圧縮比の低効率エンジンなのだ。そのためシーケンシャルターボや可変容量ターボやターボ/SC併用システム等などが考えだされたが、これらは複雑で高コストだ。

そこで、排ガス圧力が充分でない低速域では電気モーターでタービンを回してやるのか電動アシストターボだ。これなら構造は簡単で、しかも電気モーターはエンジン回転数とは関係ないのでSCよりもさらにレスポンスが良い。必要な電力はオルタネータ回生で賄えば、エンジンの動力を奪う必要もない。さらに、エンジン回転数が上がってタービンが充分回ったら、電気モーターはタービンに「回される」事によって発電、つまりここでも回生できる。

アウディ電気ターボディーゼル

電動ターボを実用化した例はまだないが、実用化に最も近そうなのはアウディの3.0Lディーゼルターボだ。そのレスポンスとパワーは絶大で、停止状態からのすぐさまトルクが立ち上がり、通常のターボ仕様を瞬く間に引き離すという。

ただ、このシステムは従来のターボとは別にパイパス経路があって、電動コンプレッサーが設置されている。つまり低回転ではコンプレッサー側に排ガスを流し、高回転ではターボ側に流すという事だ。これだとシーケンシャルターボと同じで2系統の過給器を切り替えるシステムであり、コスト的にも重量的にも好ましくない。

又よく見ると、インタークーラーの下流にコンプレッサーがあるので、圧縮空気が冷やせない。コンプレッサで行う過給ははターボの過給より大分圧力が低いとか?

IHI電動アシストターボ

僕がイメージするのはIHIの電動アシストターボのようなものだ。Webページ(pdf)を見て判るように、普通のターボに小さが付属物(多分モーター)が付いただけの、非常にコンパクトなものだ。これなら、コストもスペースも通常のターボとあまり変わらないだろう。

これを使うカーメーカーにとっては、従来のターボの代用品としてエンジンルームのレイアウトを殆ど変えずに装着できると思う。今後実証実験が進んで信頼性が確保出来れば、一気に普及するのではあるまいか?

所見

僕が電動アシストターボを思いついたのは(と言っても先行者は沢山居たが)、ハイブリッドカーのシステムからの発想だ。HVカーは電動モーターで駆動力を直接アシストするが、電動アシストターボは過給をアシストする。内燃機の不得意な低速回転を電気モーターでアシストするという考え方は同じだが、過給をアシストするとエンジンの効率そのものが向上するのがミソ。仕組みとしてもHVカーより遥かに簡便だ。

と言っても、タービンを回すにはそれなりに電力を使う筈。三菱重工の実験によれば、2kW位でアシストした時に効率が良さそうだ。そうするとバッファーとしてのバッテリーは従来の12V鉛電池(1.5Lクラスなら36Ah位?)では済まないだろう。だからと言って重い鉛電池を何個も積むわけに行かないので、容量が2-3倍くらいのリチウムイオン電池を1kWh程度搭載するのが適当か?それでもHVカーのバッテリーに比べれば微々たるものだし、オルタネータ回生もタービン回生も大幅に使うようにすれば更に効率するだろう。

さらに、HVカー(特にトヨタHV)的な考え方をすれば、過給器も何回転までは電気でそれ以降は排気でタービンを回すと言った単純な制御ではなく、負荷に応じた最適な動力配分をリアルタイム制御できる。特にガソリンエンジンのポンピングロス対策という意味では、車体に対してかなり小さめのエンジンを積み、スロットルはほぼ全域で全開にして、過給圧の増減だけで出力調製したら更に効率が向上するのではないか?

課題

これだけ利点があるのにまだ実用化されない訳は、10万rpmを超えるタービン回転数の高さにあるようだ。2kWクラスのモーターは回転数が高目のものでも6000rpm位だと思うので、10万rpmにするには17倍くらいに増速する必要がある。その際の動力損失やノイズが問題になるという訳だ(それで上のアウディのシステムは電動コンプレッサーを別途用意したのかもしれない)。

そこで思うのは、タービンの方をもっと低速に出来ないのかと言うこと。例えば単純にタービン径を大きくして外周部分だけに羽根を付けるとか。モーターでアシストするんだから少々慣性モーメントが大きくてもOKだし。元々普通のターボだって回転数が高すぎるためにベアリングの焼き付きとか起こしてた訳だから一石二鳥・・・って簡単な問題ではないのだろうか?

Tweet

Facebookアカウントでコメント