Motorcycle -- MCタイチ

大阪モーターサイクルショー20122012-03-20

日々暑いのか寒いのか、晴れなのか雨なのか良くわからない不安定な天候。おまけにスギ花粉舞い散るイヤーな季節に開催される大阪モーターサイクルショーに行って来た。

道中で先ず驚いたのが、阪神高速が900円に値上げされてたこと。おつりが出ないように、700円の小銭を用意してさっそうと料金所で渡したら、今年から900円に値上げしましたと係員。お陰でバイクを降り、リアのケースを開けて財布を取り出すはめに。2輪が900円ってどんだけ・・・世間のモノはどんどん安くなるのに、公共料金だけはどんどん高くなるなあ。

普段滅多に使わないので、いつも迷路の気分を味あわせてくれる阪神高速だが、間違えずに正しい出口で降りることに成功。グルグル回ってたどり着いた2輪用臨時駐車場は、500円から300円に値下げされてた。まあ、高速は往復なのでトータル200円の値上げだが、まだ救われた気がした。

日本一非効率な試乗会

てくてく歩いて会場についたら12時過ぎだった。いつもの様に、試乗会場へ直行。電動バイクは13:10からで、普通のバイクは午後一の整理券にポツポツ人が並び始めている頃だった。

ここで、大阪MCショーに行ったことがない人のために、非常にややこしい試乗システムについて説明しておく。試乗会は一日4回(各1.5時間程度)のピリオドにわかれており、夫々に次の段階を踏まなければならない。

  1. 各ピリオドが始まる約1時間前から試乗整理券を配るので、列に並んで免許証とMCショーのチケットを見せて整理券をもらう。ただし、この券には試乗車種や時刻や順番等は一切記されておらず、第何ピリオドの試乗会に参加できるというだけの証。だから早く並んだ(もらえた)からと言って意味はない。一回に参加できるのが150人までなので、もしかしたら貰えないかも知れないと係員は言うが、僕の行った時間帯では試乗が始まってもまだ配布していた。
  2. 整理券に書かれ集合時刻になったら、試乗会場(野外)に入る為に整理券配布場所(屋内)の隣で再び並ぶ。ここでの列順は試乗の順番に関係するので、早く並ばないと希望の車種に乗れない可能性がある。ここでも長い人なら1時間以上待っているようだ。結局、後述する試乗会場内の列を屋内に留めておき、前のピリオドの参加者を一旦試乗会場から退場させた後に入場させようというシステムのようだ。
  3. ようやく試乗会場に通される。基本的には先ほどの列順を保持したままだが、誓約書に記入して再び列を作るので、記入のスピードによって順序が前後する。列の途中で誓約書と整理券を渡し、続いて希望車種のチケットを1枚だけもらう。この時、免許証を提示して、その車種に乗るのに必要な免許を持っているかどうかチェックされる。
  4. いよいよ試乗!なのだが、車種別に列を作るわけではなく、今まで通り一列のまま。準備できた車両から、スタッフが「○○のお待ちの方は居ますか?」と声をかけるので、手を上げて一番前の人から乗る。列が蛇行しているので手を挙げても直ぐに判らないこともあるし、呼ばれた方も奥のほうから人をかき分け、パイロンを跨いで出てくる事になる。こういう事を毎回繰り返すなんて、参加者にとってもスタッフにとっても労力のムダ。
  5. 勿論、列順が後ろの方でも、不人気車種であればごぼう抜きで一気に試乗できることがある。時間が許す限り、最後尾に戻って何度でも試乗できるが(2回目からは車種選択と免許証の提示のみ)、余程不人気車を選ばない限り、精々2回が限度だと思う。

僕も、最初は1段階からまじめに並んでいたが、何もしてないのにドンドン疲れ、時間だけが過ぎていく事に馬鹿らしくなって列から離脱。先に電動スクーターに試乗することにした。

電気バイク試乗

電気バイクの試乗は恐らく今年から。ホンダ、ヤマハ、スズキの大手3社のマシンが勢ぞろい。ヤマハ以外は初体験だ。

ここでは、エンジンバイクの試乗と違い、受付してその場で試乗。しかも、車種ごとに長椅子に並ぶという真っ当なシステム。参加者も少ないこともあって、直ぐに乗れた。先ずはスズキからインプレ。

e-Let'sスズキ e-Let’s

ご存知Let’s4の電化バージョン。スズキだから現実的な価格で出してくれるだろうと期待したが、あっさり裏切り30万円。スズキ自身も認めるように、エコを売りにしたい企業向けで、個人には殆ど売る気無し。

走りの方は、中華系の電動スクーターと比べると、パワー特性が若干スムーズでサスもしなやか。普通の原付スクーターのディメンジョンなので、EC-03のような腰高感は無かった。

EV-NEOホンダ EV-NEO

こちらは更に高くて、完全業務用(実験用)プライス。車体は見た目に大柄で、乗ってもドッシリ安定し、乗り心地も良好。パワーも出だしは僅かに緩慢か気もするがその後は伸びやか。トルクも車重も他の2車の1.5倍という感じの、ひとクラス上の車格。

ヤマハ EC-03

公道でも乗ったので、一番良く判っているが、比較のために試乗。こういう低速でフラットなコースで乗る限り、3車の違いはあまり出ない。パワーも似たりよったりで、ハンドリングの腰高感もさほど感じなかった。と言うことは、他の2車も公道で乗ると、非力さや不安定さを感じるかもしれない。もっとも、EV-NEOの安定感は別格だと思うが。

エンジンバイク試乗

再び普通のバイクの試乗会場に戻り、幾分短くなった「戦列」に復帰。しかし、試乗可能車種を見ると、乗りたかったメガリ250もNinja1000も既に終了。残っているモデルは・・・XG250Trickerが目についたので仕方なくこれにした。不人気車種だろうからすぐに乗れると期待したが、そこそこ待たされた。インプレはあとで纏めて。

トリッカーに乗り終えた頃には、試乗タイムは殆ど終わっていたので、さっさと屋内に戻る。すると、次のピリオドの整理券を配っていた(列もさほど長くない)ので、並んでゲット。その後ようやく、その日初めて屋内の展示スペースに入った。

最初に目に入ったのは、SYMという台湾ブランドのブース。殆ど予備知識は無かったが、先ほどの試乗会に何車種か出ていた事に気づいた。T2 250というネイキッドもあって意外と良さそう(詳細は後述)なので、次はこれに試乗することにした。

展示会場をざっとチェックして、次の試乗の屋内の列がなくなっている頃を見計らって、再び試乗会場に行った。するとまだテントをはみ出すほどの列の長さがあったが、あまり遅いと先ほどのように何も残って居ないかも知れないので致し方あるまい。

我慢して並んで、ようやく試乗車種のチケットを見ると・・・忍者もメガリも売り切れ!まあ、ある程度覚悟はしてたので、すかさず先ほどのT2 250を選択。トリッカーより短い待ち時間で試乗できた。

試乗を終えて次に選んだのが、同じくSYMのNew Fighter 150ZRというすごい名前のスクーター。するとスタッフが「これは今回始めたなので、すぐに乗れますよ」と言って、試乗整理のスタッフに取り次いでくれ、いきなり試乗できた。ごぼう抜きって気持ちいい!これに気を良くして、次も同じくSYMのRS125iというスクーターを選択。やはり「すぐに乗れます」!ってどんだけ不人気やねんと思いつつ、再びごぼう抜き。

試乗バイクミニインプレ

ここで、先のトリッカーも含めて、試乗したバイクのインプレを。

XG250 TrickerYamaha XG250 Tricker

トリッカーのレトロ外装仕様である。トリッカーは2003年位の発売当初に試乗して以来だが、当時の立ちが強いハンドリングは感じられず、XT250Xのようなナチュラルで軽快なハンドリングだった。サスはしなやか乗り心地も柔らか、エンジンも低振動でまろやか。こういう低速コースでは非常に快適。

ただ、XT250Xのように、パイロンコースでは快適でも、公道で80km/h以上出すとゆらゆら蛇行するようなこともあるので、それと同じような現象が出ないとも限らないが。

SYM T2 250SYM T2 250

250パラレルツインと書いていたが、実はシングルだった。それほどスムーズなエンジン。CBR250Rより足つきも良く、スリムでコンパクトな印象。パーツの質感も、タイ生産のNinja250やCBR250Rと比べて、特にさがあるようには見えない。

エンジンはドロドロと、結構低めのながらマイルドな排気音。低速トルクもしっかりあって、回り方もスムーズ。ギア比が全般に高めのようで、ここの超スローペースの試乗では、何と1速だけで足りてしまう。

詳しくは:バイクインプレNEOへ。

SYM New Fighter 150ZRSYM New Fighter 150ZR

アドレスV125より少し大きめ位の車格に150ccのエンジンだから、パワーはかなり強力。少なくとも出だしは、アドレスやPCXより一回り強力な感じ。ドコドコと野太い排気音もやる気にさせる。

ハンドリングもアドレスより安定していて、乗り心地はPCXのような突き上げがない。維持費の問題を別にすれば、恐らく最強の通勤マシン。

SYM RV125iSYM RV125i

150ZRより遥かに大柄なのに、エンジンは125cc。よって加速感は当然緩慢になるが、この狭いコースではさほどかったるくはない。問題は何処まで速度が伸びるかと、その時の音や振動のレベルである。

乗り心地は流石に重厚で、腰のサポートもばっちり。ハンドリングも安定。これはかつてのマジェスティー125のようなポジションではあるまいか?

展示ブース

試乗が完全に終わったのは午後4時。閉店1時間前にして、ようやく本格的に展示ブースを見学した。

KTM 200 Duke

KTM 200 Duke

昨年登場した125Dukeは、がっちりした車体に対して流石にアンダーパワーだった。「これに250位のエンジンを載せたら面白いのに」という期待通りのバイクを今年出してくれた。それがこの、200Duke。

車体のスリムさ、コンパクトさ、軽量感は125と全く同じと違って良いだろう。CBR250Rは妙にボリュームがあるが、これは単気筒ならかくあるべしというスリムさ。試乗が楽しみだ。

KTM 690 DukeKTM 690 Duke

昨年、690Dukeの従来型に試乗して、その軽さとパワーに感動したが、今年のニューモデルは更にコンパクトに変身した。

横に置かれた踏み台が邪魔してまっすぐ足を下ろせなかったが、足つき性もかなり改善されていると思う。しかも、重量感は200Dukeより一回り重い位で、日本車で言えばCBR250RやNinja250Rの重量感(実際の重量も同様だと思う)。これに、690のパワーだから速くない筈がない。ホント、KTMには早く乗ってみたい。

Honda NC700S

NC700SHonda NC700S

話題のNC700シリーズのネイキッド版。4/17デビューとある。

NC700Xと比較すると、やはり足つきは一回り良い。Xが両足つま先立ちだとすれば、Sは両足の親指の付け根が着くくらい。ただ、Xに試乗した時にアクセルの重さが気になったが、このSもやはりアクセルを回すと同様の抵抗感があった。

スタイルも派手ではないものの、今時のネイキッドのポイントを抑えていて、古臭いホンダのラインアップの中では良い方だと思う。自慢のラゲッジスペースは、NC700Xと比べると若干深さが浅いように見えた。

インテグラHonda インテグラ

NC700と共通のプラットフォームを持つスペシャリティーバイク?(^^。

見ての通りダミータンクはなく、ラゲッジスペースはミニマムになってしまった。その代わりに、スクーターのようにセンタートンネルを跨いで乗り込める・・・かというと、高すぎてちょっと無理。足を前から回しても後ろから回しても乗りにくい。

おまけに、幅広ボデイーと17インチホイールにより、足つきは悪い。ネイキッドの欠点と、スクーターの欠点を併せ持つ無理筋企画のようだ。

CRF250LHonda CRF250L

かれこれ20年ぶり位のブランニュー オフロードバイク。流石に今風のスタイルと内容。目覚まし時計風メーターともやっとお別れ。

気になる足つき性は・・・両足つま先が何とか地面に触れる感じ(^^;KLX250と同等か?見た目には若干低い気もするのだが。

セローでは物足りないし、WR250Rではレーシーすぎる。KLXと共に、高速移動も林道もそつなくこなせるトレールバイクとして期待大。開発者インタビュー

カブ110新型カブ110とベンリー50

つい先月発売された新型カブ110。何だか昔のカスタムみたいに角張ったデザインだが、先代のカブがポリバケツのようなデザインだったので、こちらの方が良いかも。

奥にあるのはベンリー50(?)のカスタム。EV-NEOも多分これをベースにしていると思われるが、もう業務用バイクはカブをやめてこれで良いんじゃないの?

スズキ GSR-750GSR-750

数年前から注目していたのに、まだ一度も現物を見たことなかったこのバイク。今回はじめてご対面。写真の印象通りのシャープな造形。

跨った感じは、かつて乗っていたZ750に近い。足つき性は数値に差があるのに実感ほぼ同じ。ポジションは若干アップライトかな。タンクは後方では絞られているが、前方に向かってストレートに広がる扇型。男らしく、股をガバッと開いて乗るべし。塊感のあるハンドリングがイメージされる。

これも試乗したいけど、並の試乗会には出てこない希少車種。おまけに逆車で100万超かあ。

スズキ V-Strom650V-strom 650

GradiusのVツインエンジンを積むデュアルパーパス。前の角ばったスタイルは悪くないと思ったが、タイガーを意識して丸くなったか?

重量は若干軽くなったというが、車体は相変わらず大柄。足つき性はスーパーテネレ1200に劣るとも優らない。完全に欧米向きバイクだね。

スズキ GW-250

話題のスズキ初、中国産ネイキッド。スタイルは狙いが良くわからないアジアンテイスト(写真を撮り忘れた)。中国人をターゲットにすると、こういう垢抜けないスタイルになってしまうのか?少なくとも、見て触れた感じは、特に購入意欲をそそるものではなかった。

ER-6ER-6nカワサキ ER-6n

今年から、ER-6もモデルチェンジ。より精悍、かつスタイリッシュになった。

ライダーが足を下ろした時の股下形状がかなりスリム。同じパラツインでも、ぶっといNC700とは比較にならず、むしろ単気筒の690Dukeに近いスリムさ。

タンクは前方中央部だけが盛り上がり他は絞りこまれているため、伏せてもお腹が窮屈じゃないし(メタボには嬉しい)、ハンドルを切っても手と干渉しない。ただ、この上にタンクバックは置きにくいと思う。ポジションは上体はアップライトながら、高くて後ろにあるステップは相変わらずか。

ER-6は発売当初はいつも期待するが、実際に乗るとエンジンのガサツさが無くならない。今回はどうなっているのだろうか?

Ninja ZX-14R

Ninja ZX-14RNinja ZX-14R

ドラッグレースでハヤブサをぶっちぎったという、ZZR1400の新型。テープで仕切って順番に跨がれって事らしいが、注目度はさほど高くなかった。

跨ると、従来モデルよりハンドルが遠くなってるような気がした。圧倒的なパワーと引換に、ふんわりタッチの乗りやすさを捨ててしまったとすれば残念だ。六角形断面のメガホンマフラーも、とって付けた感じ。

T-Maxヤマハ T-Max

BMWのスクーターが、従来型T-Maxを完全に意識したデザインで登場したが、新型T-MaxはそのBMWに影響されたかのようなステルスデザインになった。マッドブラックなら本当にステルス爆撃機のようで、良くも悪くもここまで来たかという感じ。

ただ、またがってみると、従来型よりコンパクトになってるような気がした。先代も初代も、T-Maxは車体幅が広くて、足つき性はオフロードバイク並みに悪かったが、新型は多少ましになってるような気がする。フロント部分も心持ちコンパクトになってすようで、軽快感がある。これなら試乗してみたくなった。

Street Fighter848Street Fighter848Ducati Streetfighter848

実は先週、Ducatiの店で跨ったのだが、足つきツンツンで、ネイキッドにあるまじき超つんのめり系のポジションだった。ただし、フロント周りは超軽い感じ。

店員によれば、先に出たStreetfighterSがエンジン的に余りにもじゃじゃ馬マシンだったので、オーバーラップを狭くするなどして乗りやすくしたという。代わりに、車体はキャスターを立てて軽快感を出したらしい。

その他のバイクたち

拡大写真の下の欄にコメントを書いた。

CBR250R痛車
CBR100RR
Jemma
Gradius400
GSX-R750

まとめ/雑感

大阪モーターショーと同様に、大阪モーターサイクルショーも年々しょぼくなってると言われているが、展示物に関する限り個人的にはこれで充分。パーツメーカーや個人ショップの展示は殆どないが、メジャーブランドが揃っていれば僕はOK。

今回は、いつもショボイと言ってるホンダに一番元気があった。車のようなエンジンが微妙なNC700ではあるが、2輪には無かった手法でコストダウンしたのは歓迎。久々のトレールバイクCRF250Lにも期待できる。

カワサキもZX-14RやER-6など、今年もニューモデルを投入してきた。もっとも、殆ど欧米市場向きという感じだが、毎年1つ以上は話題があるのは良い。

スズキはGSR-750が見れたのは良いが、今年のニューモデルとしてはキワモノe-Let’sくらいしか無い。試乗会もここ数年代わり映えしないモデルでABS体感ばかりやってるし、もうそろそろ新機軸が欲しいぞ。新型DR-Z400SMとか。

ヤマハもT-Max以外は、殆ど従来バイクの焼き直しという感じで、目新しさが無かった。丁度ニューモデル発売の狭間かもしれないが、クロスプレーンR1のような革新的なスポーツバイクを希望する。

個人的にヒットした昨年以上に期待できるのがKTM。Duke兄弟が更にコンパクトになって、更に楽しそう。

試乗会については上述の通りで、全く改善する気が無いらしい。長い人なら延べ3時間ほど列に並んでると思われ、その分展示物を見る時間を削いでいる。東京モーターサイクルショーの1車種500円も辟易するが、ただとは言えこのショボさは何なのか?主催者の意図が不明である。

まあ今後はそういうイベントだと割りきって、最初から人気車種に乗ろうとしないのが正解だろう。大体、メジャーな車種はよそで何度も試乗会をやってるわけで、態々こんな狭い所で乗る必要ない。ここでは、SYMのように普段触れる機会がない不人気車にサクッと乗るのが正しい使い方だと思う。

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