Sounds natural

MCタイチ 音楽サイト

ステージピアノ比較レビュー(欧州ブランド編)

【公開】2014-06-22 【修正】2015-03-06

※2014-12-23:StudioLogicの2機種のレビューを改定しました。

※2015-03-06:ヤマハのステージピアノ比較レビューヤマハ編に統合し、本ページでは欧州ブランド編として再編しました。

Studio Logic Numa Stage

Studio Logicという名前を聴いたことがない人も多いと思いますが、Fatarというイタリアの鍵盤メーカー(Nodeなどに供給している)が割と最近立ち上げた、キーボード/シンセの自社ブランドです。日本の輸入代理店の公式ページ

個人的にネットで見て非常に気になっていたんですが、当初は関西では展示している店が殆ど無く、中々実機に触れることが出来ませんでした。しかし最近(2014年末)は大阪梅田の島村楽器や石橋楽器に置くようになりました。

サウンド

ピアノ1はスタインウェイDのサンプリングですが、甘くとろけるような中低音と、華やかで透明感がある高音のバランスが絶妙です。同じスタインウェイのサンプリングでもでも、ローランドやコルグのようにカリカリした音ではなく、ソフトに弾けば柔らかい音、強く弾けばビーンという弦とフレームが鳴るハードな音が出ます。

また、ダンパーペダルを踏んだ時の音の広がりがすばらしい!これは、ストリングレゾナンス効果(個々の音の足し算ではなく、弦の共鳴もシミュレート)のお陰ではないでしょうか?試しに、低音部の鍵盤を音が出ないようにそっと押したまま、高音部のキーを叩いて直ぐ離すと、押している低音弦が共鳴して少し音が鳴るのを確認できました。

1GBのサンプルデータが入ってるという新音源ですが、それをたったの12音色^^;で使ってるところが何とも贅沢ですね。生ピアノのシミュレーションという意味では、ヤマハのCP4が最近ではダントツに良いと思いましたが、それと肩を並べると生っぽさです。

ピアノ2(Stage piano)はピアノ1(concert grand)より高音域がよりブリリアントで低音域はビンビン弦鳴りするという、平たく言って派手な音です。しかし、有りがちなピアノ1の高音を強調しただけの音ではなく、ちゃんと別のピアノの質感があります。これはFAZIOLIをサンプリングしたそうですが、あの巨大なピアノがこんなタイトな音を出すんですね。

その他、エレピやオルガンも奇をてらったところはありませんが、太くてスイートで存在感のある音です。日本製品のような膨大な音色や凝ったエディット機能は無いものの、全般的に音痩せ感がなく自然な音だったと思います。

参考までに、音が確認できる動画です⇩

鍵盤

先ず、鍵盤だけでなくプログラムも絡みますが、キーベロシティーに対する音色変化が急激みたいで、最初は不意にガツンと硬い音が出てしまいました(特に黒鍵)。一方白鍵は、弱いタッチで音が出ない時が有ります。ベロシティーカーブはLight Normal Heavyの3つのプリセットが有り、デフォルトでは中間のNormalになっています。これをHeavyにすると不意にガツンと鳴る事は無くなりまが、当然ながらキーが鈍く重い感じになります。

そこで登場するのが、Fatar Touchというボタンです(多分) これをONにして演奏しているとコンピュータが自動的に最適なベロシティーカーブを作ってくれるそうです(しかも10個のパタンを保存可能)。使い方が合ってるかどうか解りませんが、何分か演奏してからベロシティーカーブのFatar Touchを選択すると、打鍵が弱すぎて音が出ないという事はなくなっていました。

これは単に僕が楽器のタッチを学習しただけということはないと思いますが、実際にどのようなベロシティーカーブに設定されたか確認したいところです。パソコンなどに接続してベロシティーカーブを図示し、そこからグラフィカルに編集できたら良いのにと思いました。

鍵盤そのものはTP/100LRというタイプで、Fatarのピアノタッチ鍵盤の中では最も軽量かつ廉価なモノのようです。白鍵は裏側のえぐりが少ないのか、キー自体の肉厚感や質量感が有る方です。一方黒鍵は相対的に質量感が小さく、若干アンバランスに感じることもあります。

ハンマーアクションとしては強めに弾くとブリっとしたクリック感が有りますが、これはそうやら弾きこまれた個体だったかも知れません。未だ新品に近いものはキーのフリクションが結構強く、押しも戻りも渋めで鈍めの感触です。

しかし恐らく一番の問題は、キーの動作音がカタカタと五月蝿いことです。キーの床か、持ち上がったハンマーが当たる部分に入ってる緩衝材が薄いのかも知れません。兎に角、国内メーカーの鍵盤でこんな音がするものは見たことがありません。他の楽器が鳴ってる五月蝿い楽器店内ならよく解りませんが、比較的静かな一角に置かれた個体を弾いてみると結構目立ちます。だから、家に持ち帰って引いたらもっと目立つのではないでしょうか。

また、公式サイトの断面図を見ると、キーの奥行き(支点から先端までの距離)が短かそうです。実際に白鍵の奥のほうで押すと、先端付近で押したときより明らかに重いです。もっともこの鍵盤だけ特別酷い訳ではなく、例えばカシオのピアノ鍵盤やヤマハのGHS鍵盤でも似たような感じでした。

鍵盤の表面仕上げですが、ローランドほど明らかなアイボリーフィール(マッド仕上げ)ではありませんが、GHSやRH3みたいに完全にツルツル(ヘタすると指にくっつく)ではありません。丁度ヤマハのCP-4やCP-40(GH)と同じくらいツルツル(サラサラ)度だと思います。

その他

皆真っ黒けな日本製品の中にあって、一際目立つホワイトボディー。特別凝った意匠ではありませんが、ロゴマークやオレンジのボタンラベルもさり気なくオシャレ。そして重量が13kgと軽いのも良いですね。88鍵ピアノ鍵盤としては、ヤマハのP-105やカシオのP-150などに次ぐ軽さで、同価格帯のステージピアノの中では多分最軽量でしょう。

Numa Concert

最高級木製鍵盤を採用したStudioLogicのフラッグシップ・ステージピアノです。と言っても、音源はNuma Stageと全く同じという事なので、音については上記を参考にして下さい。

鍵盤

さて、その木製鍵盤ですが、白鍵の材質が木製に変わっただけではなく、アクション構造自体もStageとは異なり、ややキーの長い上位グレードのものです(→Fatar鍵盤)。

タッチですが、最初に試奏した個体は木製らしくしっとり柔らかでブリンとしたクリック感が控えめにありました。反面、やや動きに曖昧さ(フリクションのバラつき?)が有るようにも感じました。

その後は店から消え、半年後くらいに再び展示されたもの(最初のと同じ個体か否かは不明)を試奏したら弾きこまれたからか製品のバラつきなのか判りませんが、ちょっとタッチが変わっていましたモワッとした感じが消え、コリコリとしたクリック感があります。

ただ、ローランドのPHA3などはストロークの中程でクリック感(エスケープメント)があるのに対し、この鍵盤は押し始めに抵抗感があり、生ピアノのタッチとは異なります。その代わり、PHA3ほど重々しくはなく、カラッとしたタッチです。

Numa Stageと比較するとキーが長いようで、白鍵の奥で押してもそんなに重くなりません。また、白鍵表面をよく見ると、非常に細かい象牙風の文様が刻んであり手触りも良好です。弾き込むとやや黒ずむ所は、PHA3に匹敵する本物っぽさです^^;

まとめ

音源や操作パネルはStageと全く同じなのに、6万円以上(サウンドハウス調べ)という価格差は如何なものでしょう?いくら上等な鍵盤とは言え、それだけでConcertを選ぶかというと正直微妙ですね。ボディーカラーも白のStageの方が新鮮ですし。

そして、StageにせよCocertにせよ、試奏した店舗や時期によって印象が変わってしまうということは、StudioLogicの鍵盤は個体差が大きいかもしれません。経年変化ならまだ良いんですが、製品のバラつきは信頼性の問題ですからちょっと気になります。

NORD Electro 4HP

続いてはClaviaのNodeシリーズ。73鍵ハンマーアクションでハモンドオルガンのエンジンが入ったモデルです。

サウンド

普通のデジタルピアノ/シンセでは、ピアノ1の音色がコンサート・グランドで、ピアノ2がもう少しブライトで硬質なピアノですが、NORDでは逆になっています。

でそのピアノ2の音色が素晴らしい。とてもナチュラルで生々しく表情豊か。当然ながらスタインウェイのサンプリングと思われ、Numa Stageと似ています。どちらも甲乙つけがたいですが、Electoro 4HPの方が僅かに硬質かな?

これらに比べると、国産のピアノ音は同じスタインウェイでも、どこか薄っぺらく人工的。スタインウェイというときらびやかじゃないとダメという思い込みがあるのかも知れませんが、海外勢はもっとジェントルでナチュラルな音です。

自慢のオルガン音もサスガに良いですね。ドローバーをイジったりしてませんが、プリセットで十分クールなサウンドです。音だけで「これはワルター・ワンダレイでしょ」みたいなワクワクするサウンドが出てきます。

エレピもやはり生生しく、機種ごとの違いがはっきりしてます。ローランドやヤマハより全般的に硬質かな。

鍵盤

Fatar製の鍵盤ということで、恐らくTP/100LRだと思いますが、やっぱり作動音はコトコトと五月蝿いですね。店頭にあるNumaStageより弾きこまれた個体のようで、渋さが無くなりプリプリしたタッチがより強調されたのは良いのですが、軽くなった分ベロシティが上がるのでより五月蝿くなります。特に高音域のキーで顕著です。

その他・まとめ

Nordのキーボードでやや疑問なのは、操作パネルです。オルガンのドローバーもスライダーになってるのはElectro4Dだけで、あとは上下キーで1段づつ上下しないといけません。

音色選択もダイヤルではなく、小さく軽い上下キーでカチャカチャやるだけ。表示エリアも昔の電卓みたいな数字が3桁ほどあるだけ。この数字の整数部分が音色で、小数点以下(下の4つのキーで選択)がバリエーションかと思いきや、全く違う音色になってしまう。これって、パッチセットみたいにアサインするんでしょうか?

あと価格ですが、サウンドハウスで28万円ときました(*_*; 日本勢のなかではダントツ1位のRD-800より更に5万円も高いと。Youtubeの英語の比較レビューとかを見てると、やっぱり日本製品より格段に高いようなので、円安の影響とかではなく元々高いんでしょう。

日本勢VS欧州勢

レビューをまとめて思ったんですが、鍵盤など物理的な部分の技術は日本製品の圧勝ですね。タッチは悪くないものの、欧州ではFatar鍵盤しか無いのに対し、日本勢は5社全てが各々上質なピアノ鍵盤を持っています。スイッチ類の品質やバリエーションも圧倒的(もっともインターフェイスとしての使いやすさはまた別の問題ですが)。その割に値段はお手頃。

一方、音そのものについては、不思議と(と言っては失礼ですが)欧州勢が良いんですよね。音色数は少なかったりしますが、夫々の音(特に生ピアノ)がとてもナチュラルでリッチ。これはハードウェアの問題ではなく、どのように生音を録音・加工し、どのようにメモリを使うかというソフトウェアの問題だと思います。

工業製品として優秀な日本製に対して、センスの良さで勝負の欧州勢と言ったところでしょうか。

Facebookアカウントでコメント