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ステージピアノ・レビュー(ヤマハ編)

【公開】2013-10-27 【修正】2015-03-06

これまではヤマハのデジタルピアノとステージピアノにページを分けていましたが、内容が重複していたので一つにまとめました。

P-105

このモデルは据置型の電子ピアノとして扱われることが多いですが、専用スタンドは別売りで、本体はスピーカーが付属するものの、形態としてはステージピアノのなのでここに加えました。

P-105サウンド

3万円クラスの中ではダントツにリッチで粗さがなく、全音域でバランスの取れた音。音源は10万円位のヤマハのデジタルピアノと同じRGEスタンダード音源なので、特にヘッドフォンで聴いた時に違いが引き立ちます。

付属のスピーカーは価格なりの出力・再現性という感じですが、音源が比較的重厚なせいか極端に安っぽい音ではありません。

鍵盤

ヤマハのピアノ鍵盤の中ではボトムラインのグレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤というものですが、これも実売8万円程度のYDP-142と同じものであり悪くはありません。逆に上位のGH鍵盤が重く鈍いのに対し、寧ろ好ましい重量感でキーの戻りの速さも適切です。

ただ、キーの表面は黒鍵はマッド仕上げでサラッとしていますが、白鍵は完全にツルツルなので若干ベトつきます。また、キーの長さ(奥行き)は短めで、白鍵の奥で押したときはストロークがミニマムで当然打鍵は重くなります。(その点GH鍵盤はキーがやや長く、白鍵表面も僅かにしっとりしています。)

アクション部を含めたキーの重量は恐らくヤマハのピアノ鍵盤の中では最軽量で、この鍵盤を採用したデジタルピアノは全体重量が軽く仕上がっています。

Korgと比較すると、GH3鍵盤のタッチには敵いませんが、廉価版のNH鍵盤よりは間違いなく良いです。

構造・デザイン

重量は10kgそこそこで、ピアノ鍵盤のキーボードとしてはカシオの製品と並んで最軽量の部類に入ります。奥行きに関しては、MIDIキーボードを除いて最も短いのではないでしょうか?

尚、写真にある専用スタンドと3本ペダルはオプションなので、通常は別途スタンドが必要です。ところが、この筐体は非常に厚みが有り、底辺から鍵盤の高さが160mm近く有ります。よって、高さをかなり低く設定できるスタンドじゃないと、他のステージピアノタイプよりかなり高い位置で弾かざるを得ません。

総評

実売3万円ちょいというボトムラインの価格にして驚きのクオリティー。最強のコストパを誇るデジタルピアノが、カシオではなくヤマハから出たのは意外です。

弱点は上述の筐体の厚みくらいでしょうか?個人的にはMIDI IN/OUT端子が無く、USB-MIDIインターフェイスのみなので、LinuxユーザーとしてはMIDI送受信が出来る確証がないところが欠点でしょうか。でも、それがなかったら買ってたんじゃないかと思うほど、コストパが高い製品です。

CP-4 Stage

CP4ヤマハのステージピアノCPシリーズのニューモデル(2013/10発売)。筐体や鍵盤が一新され、従来のCP5/50より軽量化されています。音源も更新され、ヤマハの3種類のグランドピアノの音が入っています。

サウンド

第一印象は思ったよりカリカリとした硬めの音でした。骨太さより繊細さ、暖かさよりもシャープさを重視しているように感じます。弦のジーンというサスティーンまで聴こえ(良くも悪くも)生ピアノをかなり厳密に再現してるようです

モデリングしているアコースティックピアノは次の通りです;

  1. CFX(最新・最高峰のコンサートグランド)
  2. CFⅢ(かつての最高峰コンサートグランド)
  3. S6(ライブハウスなどでよく使われる小さめのグランド)

下に行くほどウォームなサウンドになります。

CFXは普通のソロにはちょっとキツすぎるかな?と思いました。硬い音はオケに埋もれないので、ロックやポップスのバッキング等には良いかも。ただそれでは、広いダイナミックレンジを詳細にサンプリングしたという音がもったいないので^^;フルオーケストラをバックにラフマニノフのピアノ協奏曲を演奏すれば良いでしょうか?(^^)

中間のCFⅢは普通にゴージャスなコンサートグランドと言った感じ。もし、ショパンのエチュードのようにど派手な曲を演奏するにしても、CFⅢで十分だと思います。

因みに先日、地元のピアノコンクールでスタインウェイDとヤマハのCFⅢを聴き比べる事が出来たのですが、基本的には似た硬め・派手目の音色だと思いました(もう一台のへーゼンドルファーとは全く違う)。CFXはCFⅢより硬い音だとしたら、よっぽど硬いということになりますね^^;

S6は更にウォームな音で、ポップスの弾き語りやジャズバンドに合いそう。ショパンでもしっとり系の曲はCFⅢよりS6の方が合うような気がします。。

尚、3つのモデルには夫々バリエーションがあって、Rockピアノ的に更に硬くなったり、Roomピアノ的にリバーヴが小さくなったります。ただ、パッと聴く限りはデフォルトの(初めに入ってる)バリエーションが最も自然に感じました。

エレピにもかなり力が入っているようで、とにかく音色数は半端ないです。しかし、ローズの73年モデルと78年モデルの違いとか言われても僕にはよく判りませんでした^^;

全般的に音がちょっと地味というか繊細すぎるというか、コルグのSV-1なんかの方が派手で表情豊かに思います。自分好みに音をエディットするにも、SV-1のようにノブがいっぱい付いてるほうが断然やりやすいでしょう。

鍵盤

この木製鍵盤「NW-GH鍵盤」のタッチは絶品ですね。従来のヤマハのピアノ鍵盤より明らかに弾きやすく感じました。これまで最高峰だと思っていたローランドのPHAⅢアイボリーフィールを超えると思います。

先ず全般的に若干軽めなのが好印象。木製らしい適度な低剛性感と振動吸収性がありながら、無駄に渋かったり鈍い感じはありません。生ピアノのタッチに近いかどうかではなく、純粋に演奏性を追求したのは良い判断だと思います。

ゆっくり弾くとクリック感はほぼありませんが、速めに弾くと適度なブリっとした感触があって、しかもキーの戻りも良好なのでとても弾きやすいのです。また、キーの長さはそこそこあるようで、見えてる部分の一番奥で弾いてもそれなりにストロークはあり、さほど重くなりません。

後述のGHS鍵盤は樹脂製ですが、もっと戻りが遅く鈍い感じです。また、ローランドのPHA3やカワイのGrand feelのように、質量感やクリック感が大きいほうが生ピアノに近いのかも知れませんが、実際に曲を演奏するとやはりちょっと重々しいです。

構造・デザイン

筐体のデザインは上面がスラントしたりしない直方体で、特にかっこ良いわけではないけどかっこ悪くもありません。素晴らしいのは17kg台という重量で、木製鍵盤のデジタルピアノの中では最軽量です。構造を工夫すれば、木製鍵盤でもこれくらいの重量に出来るということですね。

因みに、木製鍵盤の前モデルCP5は25kgあり、樹脂鍵盤のCP50ですら20kgを超えています。他社では同じく木製鍵盤のカワイMP10は30kg超で、奥行きも高さもはるかにあります。

まとめ

音は僕が想像したのとは少し違っていましたが、生ピアノの再現性という意味では素晴らしいと思います。ヤマハのグランドピアノが好きで、とにかくそれに一番近いデジタルピアノが欲しい人にはこれ以上の物は無いでしょう。

そして鍵盤タッチは文句なしで、なおかつ軽量・コンパクト。価格は実売20万円弱で従来モデルのCP5とほぼ同じ。ローランドの最高峰RD-700NXは25万円もする事を考えると、現状で最もヴァリューが高いハイエンドステージピアノだと思います。

CP-40 STAGE

CP-4の廉価バージョンです。ヤマハのサイトでCP-4との比較表を作ってみましたが、音源も結構違うみたいですね。

サウンド

ピアノ音としては、CFXとS4は割愛され中間のCFⅢしかありません。ローズ・ピアノもCP-4が15音色あるのに対し、3音色しかありません。メモリを節約するにしても、ピアノやエレピにはシッカリ使い、ストリングスやパット系を削るべきではないでしょうか。

鍵盤

鍵盤は、据置型のデジタルピアノにも使われるGH鍵盤ですが、ずっしりと重く鈍い(戻りが遅い)タッチでちょっと弾きにくいです。同じメーカーで木製鍵盤の方が軽やかというのは珍しいと思いますが、世代による考え方の違いかも知れません。

上述のGHS鍵盤(軽量バージョン)のほうが一回り軽いタッチで、キーの戻りも鈍くありません。ただ、GHはキーの長さはより長く、白鍵の表面仕上げはもっとしっとりとしています。だから問題はアクションで、キー自体は樹脂鍵盤の中で優秀な部類だと思います。

まとめ

CP-4が音もタッチも入念に作りこまれたのに対し、CP-40は廉価版とは言え、ちょっと差別化されすぎな気がします。鍵盤は仕方ないとしても、音源までゴッソリ割愛してしまう必要があるんでしょうか? 

サウンドハウスではCP-4との価格差は5万円ですが、内容から言って僕ならCP-4を選びますね。因みに、StudioLogicのStageとConcertは鍵盤だけ違い、音源部や操作パネルは全く同じで、6〜7万円も差があります。もっとも、CP-40は楽器店の展示品入れ換えのタイミングなどで、通販より安くなる場合もあるようですが。

ヤマハ・デジタルピアノの歴史(?)

世界最大のピアノメーカかつ電子楽器メーカであるヤマハは、電子ピアノの歴史も当然古いです。90年代の据え置き型の電子ピアノといえば、ヤマハかローランドくらいしか思い当たりません。あと、コロンビアとかパナソニックもあったような気がしますが、20世紀に絶滅したと思われます^^;

実は個人的にヤマハのアコースティックピアノの音は好きではありませんでした。高級なコンサートグランドは知りませんが、街の音楽教室や一般家庭に置いてあるようなピアノは、ゴンゴンと金属的な重々しい音が鳴ってるイメージしかありません。

ところがデジタルピアノに限って言うと、その重々しい音が軽々しい国産PCM音源を上手く中和していたように思います。特にローランドの90年代のピアノ音源はDTM的でとても薄っぺらかったですから。

鍵盤についても、ヤマハのデジタルピアノは生ピアノと同様の重々しいタッチでしたが、90年代のバネっぽいピアノ鍵盤の中では、比較的良い方だと思いました。しかし、2000年代に入ってカシオがデジタルピアノに参入したり、ローランドのピアノ鍵盤が急速に進化する中、ヤマハの鍵盤は殆ど進化してないように感じました。

それが激変したのが確か2008年頃、ヤマハがデジタルピアノのラインアップを一新し、鍵盤も音もガラッと変わりました。これまでのドスドスと重々しいタッチとは違い、やや軽快かつグニョっとしたクリック感が付加されていました。

僕はこのタッチは嫌いじゃなかったのですが、どうやら市場では不要だったようで、その後2-3年で元のドスドス鍵盤に戻ってしまいました。ヤマハのブランド力をもってしても、ユーザーの保守性には勝てないのか、と残念な思いがしました。

ただここ数年は、CP-4の登場などを見るに、ヤマハが新しいステージに入った感があります。2014年には据置型電子ピアノのラインアップも一新され、鍵盤も以前のブリっとした感触が控えめに戻ってきた気がします。

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