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エレガット・ギター レビュー

【公開】2017-01-20 【修正】2017-01-21

フラメンコ、クラシックに続いてエレガット(エレクトリック・ガットギター)のレビューです。

エレガットとは?

一応説明すると、エレガットは基本的にクラシックギターと同じナイロン弦のアコースティックギターですが、ピックアップが付いていて音をラインアウト出来ます。尚、所謂「エレアコ」(エレクトリック・アコースティック)は弦が金属(所謂「アコギ」の弦)であること意外同じです。

ただこのピックアップは、エレキギター(ホローボディも含む)の磁気方式とは違い、ピエゾ素子(圧電素子)を使って弦の振動を音声信号に換えます。これは出力する音を出来るだけアコースティックギターの生音に近づけるためですが、残念ながらこのピエゾ・ピックアップで拾った音は大抵カリカリ・ジャリジャリした感じです。勿論、製品や再生環境にもよりますが、総じてマイクで録った場合ほど自然な音にはなりません。

では何故態々そんなギターがあるかというと、第一にライブでのハウリング対策でしょう。騒がしいライブステージでハウリングを起こさないマイキングって結構難しいし、マイクを立てると奏者は動き回ったり出来ませんから。

ただ僕自身はライブをやらないのに、何故エレガットに興味を持ったかというと、一つはネック幅(ナット幅)が狭いモデルが多いので弾きやすそうだから(完全なアコースティックガットでは、フラメンコのようにネックが薄いモデルはあるが、ナット幅は52mmでどれも一定)。

それと、クラシックギターをコード弾きすると低音が出すぎると書きましたが、エレガットはカッタウェイや薄胴のモデルが多いので、低音が抑えられて生音で丁度良いバランスになりそうだったから。

最後に、弾き語りを録音する場合、2本のマイクでギターとヴォーカルを分離して録るのが難しいからです(マイキングをかなり工夫しないと、何方も同じ位の音量で録れてしまう)。まあマイク1本で両方録るのもライブ感があってよいのでしょうが、どうしてもギターとヴォーカル別々にEQやコンプをかけたくなるんですよね。

エレガットレビュー

前置きが長くなりましたが、エレガットの試奏レビューです。

Aria A-35CE

Aria A-35CE

恐らく、日本で多く出回ってるエレガットの中では実売2万円台前半と最も安価な商品でしょう

先ずナット幅が48mmと、クラシックの標準から僅かに狭く、とても弾きやすいと思いました。ボディの厚みはクラシックと同じだと思いますが、カッタウェイのせいなのか若干コンパクトに感じます。

生音はベースになったと思われるA-30Sがやや篭った感じなのに対し、このA-35CEは適度に低音がカットされ、バランス的には良好だと思います。音量的には普通のクラシックより小さいですが、家で弾くには十分な気がします。

ピックアップの音は試せませんでしたが、Youtubeで聴く限り普通のピエゾの人工的な音ですね。EQで高域をちょっとカットして外部機器でリバーブをかけたらもっと聴きやすくなるかなと言う感じ。

ただ値段を考えたらピエゾの音としては上出来というか、これより遥かに高いエレアコと然程変わらないと思うので、考えようによってはお買い得ですね。

Yamaha NCX700

ヤマハのエレガットの中では最廉価モデルですが、実売価格で4万円ちょっとします。

ナット幅は標準の52mm。ボディもカッタウェイがあるだけで、その他の形状や厚みは多分クラシックギターと同じ。なので演奏性はハイポジション以外、良くも悪くもクラシックと変わりません。

ヤマハのクラシックギターはガッチリしたボディーが多いですが、カッタウェイとプリアンプメカのせいで更に剛性感や重厚感が増してるように感じます。生音も、良く言えば上品で重厚、悪く言えば鈍く篭ってるというヤマハらしさ。そういう意味ではヤマハの純粋なクラシックギターと殆ど変わらない生音とも言えますね。

ピックアップはARTと呼ばれるヤマハ独自のもので、ブリッジの中ではなく表板の裏に低音弦用と高音弦用のピックアップが張り付いているそうです。そのせいかアンプを通した音も自然な感じで、生音に割りと近いと思いました。

ただ後述のNTXは同じARTなのにさほど生っぽくなかった・・・と言うことは、演奏者はアンプからの音だけでなく生音も直接聴いてるので、より生音の大きなNCXの方が自然に聴こえただけかもしれません。 

Yamaha NTX700

上の2機種より明らかにボディーが小さく薄いのでとても構えやすいです。ナット幅も狭いのでコードが押さえやすいし、ヤマハらしくネックやフレットの仕上げがとても精緻で、音が安定していて弾きやすいです。また、このモデルだけネックとボディーの接合部が14フレットから始まっており(通常は12フレット)、ネックが長い形状になっています。

勿論こういうネックは、クラシック・ギターに慣れていてクラシカルな弾き方をする人には、弦の間隔が狭いので違和感があるかもしれません。しかし、クラシック初心者にはこの僅かなネックの狭さが、決定的な弾きやすさに繋がると思います。

一方、生音はNCXより小さく伸びがなく、アコースティックギターとしての鳴りは期待できません。まあ、試奏したのが騒がしい楽器店だったので、静かな部屋で自分の演奏を確認するだけなら、生音だけで十分な音量は有ると思います。

さてシールドを繋いでアンプを通すと、やはりNCXと比べると伸びがなく詰まった感じの音がします。同じヤマハのピックアップシステムを搭載してるのに何故?ボディーが鳴ってないからかもしれませんが、NCXの所に書いたように生音と混ざって聴いてるとせいでもあると思います。

そこで、純粋にラインの音を比較する為に、Youtubeでライン録音されたビデオを探したのですが、NCXとNTXを同じ環境で録音したビデオが無いんですよね(というか殆どNTXのビデオばかり)。なので、全く違う人の違う環境での録音になってしまいますが、その限りではNCXの方がやや自然で伸びやかなライン音で鳴ってる気がします。

YAMAHA CGX122MCC

ふと立ち寄った最寄りの島村楽器に偶々置いてあったこの逸品。実物もカタログでも見たこと無かったので新製品かと思いきや、実は島村楽器とヤマハのコラボ商品でした。と言っても独自開発ではなく、ヤマハの海外向け製品を島村楽器が独占販売してるだけなんですが。

ネック・胴厚共にクラシックギターの標準でカッタウェイ付き。そしてナイロン弦用ARTピックアップ搭載という意味ではNCX700と同じですが、表板がソリッドセダーであることと、ネックやボディがマッド仕上げという点で違っています。個人的にはマッド仕上げの方が手触りがサラッとしてるし、見た目も落ち着いてて好きです。

ただ、木材の部位の問題(つまり個体差)かも知れませんが、ネックがちょっと重い気がしました。これはカッタウェイやボディーの一番ネック側に埋め込まれた9V電池の影響も有るのかも知れませんが、楽器全体のバランスとしてトップヘビーに感じます。

生音は意外と鳴るというのが第一印象。ちょっと篭った音のクラシックギターのCGシリーズよりやや乾いた音色で、低音が出すぎない好ましいバランスだと感じました。

さてピックアップの音ですが、先ず使ったアンプは店にあったRolandのAC-60。Line Inputに挿してEQは全部ニュートラル、エフェクト類もカット。ARTの方もEQとHi/Lowのピックアップ感度を全てニュートラルポジションで演奏したところ、低音が出すぎてモコモコしてます。

そこで色々試した結果、EQはニュートラルのままでLowピックアップを10時くらいまで落としたら丁度良いバランスになりました。因みにこの3バンドEQはかなり効きます。対してHi/Lowピックアップミックスの方は自然な効き方。なので個人的にはピックアップミックスだけで十分な気がしますが、EQを組み合わせると相当アグレッシブな音作りが出来そうです。

というわけで、ボサノバ系を中心に演奏してみましたが、僕が試したエレガットの中では最も自然で生音に近いと思いました。近いと言っても、勿論ある程度人工的ではありますが、ピエゾっぽいカリカリ・ピリピリ感は殆ど感じませんでした。

もっともNCXを試奏した時はもっと小さくて安いアンプでしたし、あまりセッティングを詰めてないので、公平な評価ではないかも知れません。ただ、生音自体CGXの方が好印象だったのは、基本的に篭っている~ドンシャリ傾向のヤマハのクラシックギターの中で、カッタウェイで低音減少+シダートップで中域増強の結果、帯域バランスがフラットになったのでは?と想像しています。

ただこの商品の問題は、冒頭に書いたとおり日本では島村楽器の独占販売と言うこと。よって、販売価格が約54,000円とNCX700の実売価格より1万円も高くなっています。因みに、Amazon.comではGCXが$429で、NCXが$499となっていますから2割近くGCXの方が安いのです。ヤマハのバイクもそうですが、同じ自社製品でもこういう比較的安価で高性能なモデルを日本市場には発売しないんですよね(・_・;)

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