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フラメンコギター レビュー

【公開】2015-12-20 【修正】2016-09-17

修正履歴

2016-9/17:Aria A-100FとACE 9Fのレビューを追加

2016-9/11:Cordba F7のレビューを大幅変更。それに伴いまとめ等も一部変更。

2016-2/15:A-50Fの現行バージョンとCordba F7のレビューを追記。その他の部分も色々と修正しました。

フラメンコギターという名前を聞いたことがあっても、実態は良くわからないという人も多いでしょう。僕もフラメンコ音楽用に補強されたクラシック・ギターかな?くらいの認識で、フラメンコをやらない限り必要ないモノと思ってました。

しかし、ヤマハのサイトでフラメンコギターはポップスによく合うという記事を読んで俄然興味が湧いてきました。音抜けが良いのでバンドで埋もれないとあります。それならコード引きでも音の分離が良さそうだし、弦高が低いなら弾きやすそうだと思った次第です。

というのも、家にあるクラシックギター(ヤマハGD-10)だと、ネックは太いし弦高が高いのでどうにも弾きにくいのです^^; また、ボサノバなどは基本的にコードの指弾きですが、中音域のヴォイシングだと音が篭ってしまうのです。

フラメンコギターとクラシックギターの違い

フラメンコギターってパット見、いやジックリ見てもクラシックギターとの違いがよく解りませんよね。ボディー形状もネックの幅・長さも同じだし、ヘッドもペグも同じ。弦の種類もスケールも同じ。まあ、ボディの色が全般的に明るいのと、表板に張ってある透明のシートくらいが違いでしょうか。

そこで試奏の前に、両者の違いについてもう少し詳しく調べたので、以下に纏めてみました。フラメンコギターのクラシックギターに対する特徴です。

  1. ボディに比重の軽い木材を使い、板厚も薄い→総重量が軽い
  2. ボディーの厚みが薄いものが多い。
  3. 上記1.2.により、音の立ち上がりが早く、減衰も早い。(参考:ヤマハサイト
  4. 弦高が低い(エレキギターやスチール弦アコギと同程度)
  5. 表板に傷防止の樹脂シート(ゴルペ板)が張ってある。
  6. ネックが細めで薄めなものが多い

つまり、フラメンコ音楽の早いパッセージやパーカッシブな奏法、弦のビビリを活かしたようなジャカジャカした響きに対応したのがフラメンコギターという事らしいです。それに比べてクラシック・ギターは独奏というか主役前提(伴奏ではない)で、重厚でクリーンな音を志向していると。

入門用フラメンコ・ギター 試奏レビュー

試奏と言っても、各社のラインナップの中でもフラメンコ・ギターはわずかしかありません。ヤマハだと実売4万円台くらいがボトムで、一方その上はいきなり80万円くらいに跳ね上がるという極端さです^^;

しかも実店舗では、他のギターは沢山置いてある店でも、フラメンコ・ギターだけは全く置いてない事が多いです。というわけで、僕の行動範囲である梅田や心斎橋界隈の楽器店にあった、4-5万円までのモデルを試奏しました。

ヤマハ CG182SF

上の記事にもあるヤマハのエントリーモデルです。見ての通り、全面カスタードクリームっぽいカラーと黒のバインディングがポップでオシャレですねえ。

先ず売り場に吊るしてある状態で、側のクラシックギターと見比べたんですが、ボディーの厚みは同じにしか見えません。スペック上も胴厚94mm~100mmとなっていて、他のヤマハのクラシックギターと同じです。

棚から下ろしてもらって構えると、やはりボディー形状やサイズ感は家のGD-10と変わりません。ただ重量は確かに軽いです。ボディーが軽いだけではなく、ネックも軽いのでバランスは良いです。仕上げのニスも薄いのが判ります。GD-10はウレタンニスがコッテリで白濁しちゃってますから^^;

また、ネックが薄い事に初めて気づきました(それまではクラシックと同じだと思ってた)。そのせいか幅まで細く感じとても弾きやすいです。スペック上はナット/ブリッジ幅が52mm/62mmと、クラシック・ギターと同じなんですけどねえ。

弦高も上の特徴通り低いので、テンションが緩く感じられ左手がかなり楽です。同じフレーズなら難易度がかなり下がったように感じます(^^) ネックの裏がつや消し塗装なのも、滑りがよくて良いですね。

さて肝心の音ですが、立ち上がりの速さはよく解りませんが、音質的にHi寄りなのは判ります。GD-10だと篭もるコードでもあまり気になりません。ただ、普通のフィンガーピッキングだと、フラメンコギターっぽいシャキシャキした音にはならず、シャラシャラと軽くソフトな音です。癒やし系ガットギターと言う感じですね。

ただ弦がほぼ新品なのか、弾いてるうちにどんどんチューニングが狂います(殆ど誰も試奏したこと無いの?)。なので自分で何度もチューニングし直しましたが、チューナーを使ったのは最初だけなので、もしかしたら全般的にキーが下がってたのかも。というのも若干音に張りがなく、ボヨーンとした感じに聞こえたので。

勿論、これから弾き込む事で、もっとジャカジャカ鳴るようになる可能性はあります。ただ以前、立て掛けてあるホセ・ラミレスのフラメンコ・ギターをそのまま触って一瞬音を出してみたことがあるんですが、まるでリュートのようにシャコーンと乾いた独特のサウンドでした。

それに比べたら、このヤマハのフラメンコ・ギターの音は、良くも悪くもクラシックギターのそれに近いと思います。GD-10の低音部をカットして、中高域も若干軽めにした感じでしょうか。加えて上述の細いネックやローテンション感ですから、まさにスケールが小さめのミニガットギターという印象でした。

Aria A-50F(セダートップ:旧モデル)

これは一見してボディーが薄いのが判りました。上のヤマハの8割くらいの厚みかな。なのでさぞ構えやすいかと思いきや・・・実際にはそうでもありませんでした^^;実は正面から見るとヤマハのモデルより幅広だったのです。だから構えると右肘が上がってしまい、薄い割にコンパクト感がありません。

まあこれもフラメンコ・ギターらしく、総重量は軽いしネックも細いですが、ネックはヤマハと違って艶あり仕上げなので、さらっとではなくねっとりした感触です。

さて音ですが、ヤマハのモデルより更に音が伸びないというか小さいというか。まあ高音域はそれなりに出るんですが、中音域(特にG弦)でポコッと詰まってしまう領域があります。ヤマハのがやや軽量なクラシックギターだとすれば、これはエレガットといった感じです。

Aria A-50F(スプルーストップ:現行モデル)

上の旧モデルを試奏してまもなく、現行のスプルーストップのモデルが店頭に並んだので、念の為というかあまり期待せずに試奏してみました。そうしたら全然良いではないですか(^^)/ 旧モデルで感じた中音域の詰まりも無く、全般的にからっと良く鳴ります。

因みに、AriaのA-50Sと言うクラシック・ギターが同価格帯で同じスプルーストップなのですが、それと比べるとこのA50Fはサスティーンが短く音が軽い感じはします。ただアリアのガットギターはヤマハと比べたらどれもカラっとした音で弦高も低いので、フラメンコだからって劇的に違うわけでもないです。

また、下のビデオのようにフラメンコっぽくバリバリ弾けば別ですが、普通に指弾きする限りはクラシックよりやや音量が小さいように思いました。というか、このビデオは部屋鳴りなのか録音機材なのか、全般的に実際よりかなりシャープに聞こえます。

軽さやネックやボディーの形状は旧モデルと恐らく同一でしょう。上ではボディーは薄いけど幅があるので割と嵩張ると書きましたが、この店の試奏用のイスが、途中のステップに右足を乗せると太ももが高く上がってしまうからかも知れません。普通のクラシックギターと持ち換えると、やはり薄くてコンパクトな感じは明らかです。

色はボディー全体が淡いクリーム色で、価格の割には質感も高く中々オシャレです。これに比べるとヤマハのはもっと黄色っぽい感じです。

音もヤマハらしく丸いCG182SFより、このA-50Fの方が軽やかで明るい音なので、僕の好みというか求める方向性ではあります。旧モデルから一転、この時点でガットギター選びのトップに浮上してきました(^^)

Aria A-100F

上述の50Fの上位機種で、スペック上の違いはサイド&バックがサイプレスの単盤(50Fはアガチスの合板)。実際の音は、試奏したのが別の店だったので厳密な比較ではありませんが、50Fとの違いは殆ど判りませんでした'◇')ゞ敢えて言うなら、100Fの方が僅かに繊細で50Fは僅かに硬いかな? しかし何方にせよ、意外と丸くて小さな音でした。

ボディーやネックの形状は50Fと同じと言ってよいでしょう。薄くて軽くて弾きやすいです。色は公式サイトの写真では50Fより赤みがかっていますが、実際にはあまり変わらずクリーム~オレンジといった感じでした。

因みに、同じ店にAriaのクラシックギターA-50C(シダートップ)があったので弾き比べましたが、A-50Cの方がむしろカラッとした音色で良く鳴る印象です。ただA-50Cは低音も良く鳴るし、相対的にHi-E弦が弱いのでウォームな印象もありますが、中の4弦は乾いて良く鳴る音でした。

Aria ACE 9F

Ariaのラインアップの中でACEと付くと、Concertというスペイン製ギターのシリーズに属します。このACE-9Fの価格はBasicシリーズであるA50F/A100Fの中間で実売7万円前後です。

先ず見た目ですぐわかるのは、明らかに薄いボディーの50F/100Fとは違い、9Fは通常のクラシックギターと同じ厚みがあります。そのせいか音も通常のクラシックギターと殆ど変わりません。そればかりか、A50SやA50Cの方がカラッと良く鳴ると思いました。

演奏のし易さもクラシックのそれですが、ネックの厚みが均一に変化しないというか、3フレットあたりが割りと分厚くてその先が一旦細くなってるように感じました。AriaのConcertシリーズは他にも弾いたことがありますが、同価格帯のBasicシリーズ(確か中国製)と比べて作りも音も劣るように思います。

Cordoba F7

一言でいうと、見た目も音もAria A50Fと殆ど同じでした(;'∀')  時間を置いて別の店で試奏したので、直接比べたわけではありませんが、少なくとも記憶で対比する限り違いが判りません。

この半年後の同じ日にAria A50Fと弾き比べると、こちらの方が明るくシャープな音がしました。不安定なレビューですみません(;^_^A  僕はタッチがソフトなようで、店員に弾いてもらうとより音のキャラクタがハッキリし音量も十分。これなら、ボサノバなどのコード弾きでも音が籠ることはなく、音が前に出てくる感じです。

ボディの厚みや重量感はA50Fと似てとても軽くて薄いです。ネックもクラシックギターを比べたら相当薄くて、弦高も低いので弾きやすいです。材質はバック&サイドのA50はアガチスで、F7はサイプレスとなっています。

A50Fには一見トラスロッドはありませんが、F7はサウンドホールからトラスロッドの六角ボルトが見えています。実は同じAriaのA50Sには外から見えないようにトラスロッドが仕込まれているらしいので、A50Fも同じ構造だと推察します。ただ、F7は弦を張ったままトラスロッドを調整できますが、A50Fは弦を外さないと調整できないという事です。

YoutubeではこのCordobaオフィシャルのビデオが一番生音のイメージに近いと思いました。ただこの録音は店員の演奏を生で聴くよりも、若干低音を大きめに拾ってるようにも感じます。

見た目はこのビデオではサイドがやや濃い色ですが、実際に店頭にあったのは公式サイトの写真の通り、サイドもバックもトップと同じクリームっぽい色でした。

実売価格はA50Fが税込み3.7万円ほどですが、F7は最低でも5万円ちょっとします。でもフラメンコらしい明るい音を聞くと1.3万円追加してF7に行きたくなりますね。

まとめ

低音が出すぎず音の分離が良く、弦高が低くて弾きやすいというフラメンコギターの特徴は確認できました。ただ少なくとも僕のソフトタッチだと、意外と丸い音だし音量もあまりない印象でした。だからフラメンコギターか否かというよりも、ブランドによる音の差の方が大きいかもしれません。上の3機種では、音が明るい方からCordoba>Aria>Yamahaとなります。

特にYamahaのはボディーの厚みから察する通り、音は普通のクラシックギターと殆ど変わりません。まあ同じヤマハの中で言えば、同価格帯のクラシックギターは更に低音よりで籠った感じですけど(;'∀') だからもしヤマハに拘るなら、フラメンコギターとしてではなく、弾きやすく低音が出すぎない普通のクラシックギターとして、敢えてCG182SFを選ぶのもアリかもしれません。

A50Fはアリアらしくネック薄め弦高低めで弾きやすく、音もヤマハよりはカラッとしてバランス良好です。そういう意味では他のアリアのガットギターとあまり変わりませんが、ボディの薄さはつまり構えやすさは明らかに違います。また価格が安いのが良いですね。

F7はネックやボディーの形状はA50Fと同じなので弾きやすく、音は更にカラッと明るくて一番気に入りました。ただ価格が他の2機種より明らかに高いのがネックというか、その価格帯まで行くならCordobaの他のモデルも試したくなります。実はフラメンコじゃなくても同じように明るい音だったりして(;^_^A

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