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モニタースピーカー試聴レビュー 2018

【公開】2018-05-05 【修正】2018-05-10

モニタースピーカーのレビューは3年ほど前からVol1,Vol2でやってきたが、視聴した機種が増えたり以前レビューした機種でも徐々に印象が変わったりするので、2018年度版として改めて記事にすることにした。

視聴環境

ハイエンドオーディオの店なら、ちゃんとしたスタンドに乗せて視聴できたりするが、音楽制作用のスピーカーを取り扱う楽器店では、通常同じ棚に沢山のスピーカーが並んでいてそれをそのまま聴くだけ。だから理想的なセッテングとは程遠く、特に低音の回り込みの点で本来の特性がとは違ってしまうだろう。

音源はKorgのKaossilatorアプリという点では従来と同じ。ただ端末が異なっており、従来は主にiPod Touchで今回はAndroidのZenfone2だ。同じアプリでもiOS版とAndroidではレイテンシーが違ったりするが、再生される波形自体は粗同じだと思う。ただ、ハードウェア(DAC)の違いとして、iPod Touchの方が若干低音がリッチで、中高域伸びも良い気がする。この違いが、スピーカーのレビューの変遷に繋がってしまった面は否めない(^_^;)

という訳で、あまり客観的な視聴環境ではないので、そこを割り引いてレビューを読んで欲しい。まあ、Kaossilatorのプリセットフレーズをループ再生しながら、鳴らすスピーカーを瞬時に切り替えられるので、相対的な評価にはなってるんじゃないかと。

ADAM Audio T5V

アダムオーディオから最近出た新たなシリーズ。全般的に高価な同社の製品の中では目下のところ最廉価。サウンドハウスではMSP5 STUDIOの価格を下回っている。

肝心の音は兎に角低音のパワーが凄い。部屋全体は言い過ぎかも知れないが、後ろの壁からリスナーの耳辺りまでの空間を重低音で満たすような感じ。モニタースピーカーはタイトな低音を出すものが多いが、これの低音はウォームで広がりがある。とは言え、不思議と音が籠もったりドンシャリ系でもない。中高域もちゃんと出ているようで、解像感もそれなりにある。

ただモニタースピーカーとして考えると、こんなに低音が出るスピーカーでMixすると、他のスピーカーで聴いた時に低音スカスカの曲に仕上がってしまわないだろうか? 一応ローパスフィルタが付いているので、これでローをカットしてやればバランスが取れるのか?

それにボディーサイズがコンパクトモニタというには余りにも大きい。MSP5より二回り、LSR305より一回りくらい大きいかな。特に奥行きが問題で、このクラスの他社製品は通常20cmくらいだが、これは30cmほどある。しかも背面バスレフなので背後の壁からそれなりに離す必要があり、デスクトップに置くとスピーカーの前面がかなり出っ張ってしまうだろう。

JBL LSR305

発売当初は低音が出すぎる印象だったが、T5Vと較べてしまうと全然普通。とは言えMSP5や更に小さなスピーカーと比べれば、程よくリッチな低音。一方中高域が弱いわけでもなく、バランスとしては良好だと思う。

ただ中高域の解像度が低く、細かい音は省略し適当にかためて音が出てるような印象。これでは空間系のエフェクトなどで生楽器やヴォーカルトラックを作り込むようなモニタスピーカーとしての用途には適さないと思う。そればかりか情報量が多い音楽を聴いた時にあまり楽しくないかも。

MSP5 STUDIO

コンパクトモニタの定番的な存在で、僕も当初は高く評価していたが、最近は少し違う見方をするようになった。平たく言うと(少なくとも同サイズの製品の中では)かなり高音域に偏った特性だと思う。

確かに中高域の解像度が高いので、ヴォーカルやアコースティック楽器の空気感や、金物系の響きは緻密に再現すると思う。またボトムもタイトな感じで出てくるので、ベースやキックドラムの輪郭ははっきりしそう。そういう意味では各パートを分析的に聴いて緻密に作り込んでいくという典型的なモニタスピーカーなのかも知れない。

ただ、低~中低域のボリューム感やウォームさが乏しく、全般的に音が硬い印象だ。よって音楽として楽しんだり全般的なバランスをチェックするにはあまり適さないかもしれない。逆にこのスピーカーで気持ちよく聴こえるように、MIXからマスタリングまで仕上げてしまうと、低音モコモコの曲になってしまいそうで怖い。

ちなみに昔の超定番NS-10Mは、フラットでもリッチでも無かったが、その特性を熟知したエンジニアが「10Mでこの音なら実際はこういう音だろう」という脳内補正をしながらMIXを仕上げていったという。だからこのMSP5もそういう使い方を前提としているのか?まあ情報量という意味では、10Mより遥かに進歩していると思うが。

Presonus Eris 5

Eris5

昨年初めて聴いた時はかなりドンシャリ系の印象だったが、その時の比べたら若干マシに聴こえた。ただ、ウォームな中域やその上の音の芯のような帯域がカットされたような印象で、全般的にやや音痩せして聴こえる。やっぱりドンシャリか(^_^;)

Presonus Eris 4.5

Eris 5の下位モデルで、一回り小さく一回り安いが、こちらの方がバランスが良いと思う。小さなスピーカーではありがちだが、中音域に音が集中しているのでEris5のドンシャリを中和して丁度よくなっているようだ。

低コストなのに無理して帯域を広げるより、ローエンドを諦めてサイズをコンパクトにした方が結果的に良いスピーカーになると言うことだろう。

Fluid Audio F5

F5

これも昨年初めて聴いたが、その時より少し印象が良くなった。実はバランスが良いと言うか、上から下まで突出した帯域や欠損した帯域が感じられない。中高域の解像度もまあまあで、傑出したと長所も無いが目立った欠点も無い。

ただ、ローランドが輸入代理店になっているから言うわけではないが、かつてのEdirolブランドやRolandブランドのスピーカが持っていたデジテル臭さ(人工的な迫力)を微かに感じない訳でもない。とは言え、同価格帯のヤマハMSP3はもっとデジタル臭いので、それを思えばかなりコストパが高い製品だと思う。

Focal Shape40

この奇妙なデザインと高価さの為あまり関心が無かったが、適当に切り替えていったら偶々鳴ったので軽く触れる。

このサイズにしては低音も出ているし、そこからハイエンドに至るまで、どの帯域も漏らさず高密度に再生しているようだ。ただそれ故に音が硬いと言うか神経質というか、直ぐに聞き疲れしそうな印象。Generecが味気ないけどフラットだなあと思ったが、実はFocalがそれ以上にフラットで味気ないような気がした(^_^;)

あとがき

もうかれこれ15年以上使っているKRK V4。タイトなベースや中高域の解像感が気持ち良いが、フラットかというと甚だ疑問。特にローエンド(70Hz以下くらいか?)がスパッとカットされているようで、低音楽器の作り込みやそれを含めたバランスチェックという意味では難ありだろう。

だからローがもっと自然に伸びで、中音域との繋がりもよく、中高域の解像度も結構高いスピーカーが欲しい…というと高望みか? しかもどの帯域も漏らさず再生するのに、聴き疲れしないなんて自己矛盾だろうね。おまけにお値段もお手頃(ペアで4万円台前半まで)となると、無い物ねだりだね(;´∀`)

だから優先順位を決めて、何処かで妥協しないといけない。V4より低音が自然に伸びているのは必須。全般的なバランスの良さと中高域の解像感も必要。となると、多少人工的な安っぽさはあるが、現状ではこれらの条件を大体満たしているF5か?もしADAMがT5Vより一回り小さいT3Vを出せば、サイズ的にも低音パワー的にも丁度良さそうだが。

まあ個人的な事情はさておき、上記の他にもEVE Audioや既にレビューを書いたAdamやGenerecなど、もう少し試聴をした後にレビューを追加したいと思う。

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