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モニタースピーカー試聴レビュー 2018

【公開】2018-05-05 【修正】2018-06-16

【20018-06-14】視聴環境について記載。KRKやADAM製品のレビューを追加。既存レビューも変更。

モニタースピーカーのレビューは3年ほど前からVol1,Vol2でやってきたが、視聴した機種が増えたり以前レビューした機種でも徐々に印象が変わったりするので、2018年度版として改めて記事にすることにした。

視聴環境

僕がスピーカーの試聴をする店は基本的に、島村楽器梅田ロフト店とKEYS心斎橋店の2箇所。どちらも同じ棚に沢山のスピーカーが隙間なく並んでいて、それをそのまま聴くだけ。音源も僕のスマフォだから同じ。ただ一点違うのは、音源とスピーカーの間にあるミキサーやスプリッター(切替器)だ。

島村楽器ではスピーカー毎に出力を変えられる1Uラックのミキサーを使っている。一方KEYSでは、家電量販店のデモでも使われるような、プッシュボタンで切り替えるスプリッターだった。結果的にKEYSで視聴すると全般的に低音が弱く、中音域の密度感も弱まっているように感じた。

尚、各スピーカーがどちらの店(又は両方)で視聴したかが判るように、レビューの冒頭に【KEY】【島村】マークを付けることにした。

音源はKorgのKaossilatorアプリという点では従来と同じ。ただ端末が異なっており、従来は主にiPod Touchで今回はAndroidのZenfone2だ。同じアプリでもiOS版とAndroidではレイテンシーが違ったりするが、再生される波形自体は粗同じだと思う。ただ、ハードウェア(DAC)の違いとして、iPod Touchの方が若干低音がリッチで、中高域伸びも良い気がする。この違いが、スピーカーのレビューの変遷に繋がってしまった面は否めない(^_^;)

という訳で、あまり客観的な視聴環境ではないので、そこを割り引いてレビューを読んで欲しい。まあ、Kaossilatorのプリセットフレーズをループ再生しながら、鳴らすスピーカーを瞬時に切り替えられるので、相対的な評価にはなってるんじゃないかと。

試聴レビュー

ADAM Audio T5V

【島村】アダムオーディオから最近出た新たなシリーズ。全般的に高価な同社の製品の中では目下のところ最廉価。サウンドハウスではMSP5 STUDIOの価格を下回っている。

肝心の音は兎に角低音のパワーが凄く、周りの空間を重低音で満たすような感じ。モニタースピーカーはタイトな低音を出すものが多いが、これの低音はウォームで広がりがある。一方中高域もちゃんと出ているようで、不思議と音が籠もったりドンシャリ系ではない。解像感もそれなりにある。

ただモニタースピーカーとして考えると、こんなに低音が出るスピーカーでMixすると、他のスピーカーで聴いた時に低音スカスカの曲に仕上がってしまわないだろうか? 一応ローパスフィルタが付いているので、これでローをカットしてやればバランスが取れるのか?

それにボディーサイズがコンパクトモニタというには余りにも大きい。MSP5より二回り、LSR305より一回りくらい大きいかな。特に奥行きが問題で、このクラスの他社製品は通常20cmくらいだが、これは30cmほどある。しかも背面バスレフなので背後の壁からそれなりに離す必要があり、デスクトップに置くとスピーカーの前面がかなり出っ張ってしまうだろう。

ADAM Audio A5X

【島村】【KEY】この製品は以前から視聴しているが、他の製品を聴いた後に改めて聴くと、非常にトータルバランスに優れたスピーカーだと思った。というのも、島村/KEYS何方で聴いても破綻がないのだ。

先ず中低音はADAMらしくリッチで伸びやかだが、T5V程強力ではないので中高域とのバランスが良好。その中高域も解像感・パワー共に十分。チリチリとしたトップエンドの伸びも少なくとも僕の耳の可聴範囲はカバーしていると思う。若者が聴いたら多分モスキート音もちゃんと聞き取れるだろう(^_^;)

ADAM Audio A3X

【島村】見た目はA5Xの縮小コピーのようにそっくりだが、音の質感も瓜二つ。中低域はADAMらしく、このサイズにしてはかなりリッチ。一方、中高域の解像感にも優れている。

ただA5Xと比べると、当然ながら低音域の再生能力は劣る。ボトムエンドが伸びないだけでなく、中低域の量感みたいなのが小さく、全体的にタイトでこじんまりした印象になる。とは言えこのサイズでこれだけの音が出れば十分優秀。価格も含めて同サイズのGenelecよりこっちの方が良いと思う。

ADAM Audio A7X

A3XとA5Xは音のキャラクタがとても似ていると書いたが、これだけは異質。率直に言って低音が出すぎてバランスが悪い。ADAMのスピーカーは元々低音がリッチなんだし、バランスの良いA5Xを拡大コピーしたようなデザインでは低音が勝ちすぎるのではないか。例えばS1Xのようにバスレフをもっと小さくして、ウーハーとツィーターの中間に持ってくるとか?

MSP5 STUDIO

【島村】【KEY】コンパクトモニタの定番的な存在。中高域の解像感では同価格帯で並ぶものなし。ヴォーカルやアコースティック楽器の空気感や、金物系の響きは緻密に再現すると思う。

難しいのは低音域の評価で、KEYSでは明らかに低音域が弱くかなりハイ寄りのバランスだと思った。しかし島村楽器ではそれほどでもなく、キックやベースがタイトな感じながらちゃんと出ていた。どちらの環境がよりニュートラルなのか判らないのが辛いが、中高域の存在感に対して低音域は相対的に弱めなのは確かだと思う。

何れにせよ全般的に音が硬い印象で、ウォームな感じではない。リラックスして音楽を楽しむといよりは、分析的に聴いて緻密に作り込んでいくタイプだと思う。そういう意味では優れたモニタスピーカーなのだろう。

ちなみに昔の超定番NS-10Mは、フラットでもリッチでも無かったが、その特性を熟知したエンジニアが「10Mでこの音なら実際はこういう音だろう」という脳内補正をしながらMIXを仕上げていったという。だからこのMSP5もそういう使い方を前提としているのか?まあ情報量という意味では、10Mより遥かに進歩していると思うが。

JBL LSR305 MK2

【島村】【KEY】取り敢えず見た目が少し変わったMKⅡ。島村楽器に従来モデルと両方あったので聴き比べてみたが音の違いはよく解らなかった。

ただ以前、中高域の解像度が低いと書いたが、それはKEYSで聴いた時の印象で、島村楽器ではそれほど問題は感じなかった。とは言え、MSP5と比べたらやはり改造感は低いが、反面低音はしっかり出ている。どちらかというと細かい所はあまり気にせずゆったり聴くタイプだと思う。

KRK Rokit RP5 G3

【島村】KRKらしくリッチでポップな低音の出方。僕の持っている初代V4もサイズの割には低音が出るが、やや無理してる感じ。それに比べてこれは、サイズ的な余裕からもっと自然な低音が出る。ボトムエンドの伸びだけでなく、中低音の温かみのようなものを感じる。

一方中高域も相対的に引っ込んでるわけではなく、LSR305より若干強い程度でバランスとしてはニュートラル。解像感もMSP5やA5Xほど高精細ではないし、チリチリしたハイエンドも出ないけど、リスニングにはこれで十分というか、寧ろ自然な音だと思う。

KRK V4 S4

【KEY】僕の初代V4が出たのが2002年、Series2が出たのは2004年。それから13年の時を経て何故かSeries3を飛ばしてS4が出た。

果たしてその音は、中高域の解像感は高くすべての帯域に音が詰まってる感じ。ただそうしたスピーカーの宿命というか、音が固く聴き疲れするタイプだと思う。また、視聴したのが音痩せ傾向のKEYSだったせいか、音に奥行き感がないように感じた。

久々のモデルチェンジに気合を入れすぎたのか、Rokitが持っている良い意味での軽さというかルーズさが無い。しかも値段はRokitの2倍以上。それなら同価格帯のA5Xの方が個人的には断然良いと思う。

Makie CR3

ペアで1万円ちょっとという破格の安さながら、ネットのレビューではとても評判が良い。しかし試聴の結果は残念ながら価格相応と言わざるを得ない。

安いスピーカーに有りがちな、音の軽さと雑音感。重量的にも軽すぎてケースがビビってるようにも聞こえる。評判が良いのは夜の静かな自宅でかなり小さな音で鳴らした場合かも知れない。僕が視聴するときは、賑やかな店内にしては小さい音で聴いていると思うが、それでも自宅の方が遥かに静かなのかも。

音量の他にもスピーカーのセッティングは重要だし、音源の特性も関係あるだろう。ただ他のスピーカーだって同様の悪条件で聴いても、良いものはちゃんと良い音で聴けるので、このスピーカーは少なくともそうした環境のスイートスポットが狭いということか?

Presonus Eris 5

Eris5

【KEY】昨年初めて聴いた時はかなりドンシャリ系の印象だったが、その時の比べたら若干マシに聴こえた。ただ、ウォームな中域やその上の音の芯のような帯域がカットされたような印象で、全般的にやや音痩せして聴こえる。やっぱりドンシャリか(^_^;)

Presonus Eris 4.5

【KEY】Eris 5の下位モデルで、一回り小さく一回り安いが、こちらの方がバランスが良いと思う。小さなスピーカーではありがちだが、中音域に音が集中しているのでEris5のドンシャリを中和して丁度よくなっているようだ。

低コストなのに無理して帯域を広げるより、ローエンドを諦めてサイズをコンパクトにした方が結果的に良いスピーカーになると言うことだろう。

Fluid Audio F5

F5

KEY】これも昨年初めて聴いたが、その時より少し印象が良くなった。実はバランスが良いと言うか、上から下まで突出した帯域や欠損した帯域が感じられない。中高域の解像度もまあまあで、傑出したと長所も無いが目立った欠点も無い。

ただ、ローランドが輸入代理店になっているから言うわけではないが、かつてのEdirolブランドやRolandブランドのスピーカが持っていたデジテル臭さ(人工的な迫力)を微かに感じない訳でもない。とは言え、同価格帯のヤマハMSP3はもっとデジタル臭いので、それを思えばかなりコストパが高い製品だと思う。

Focal Shape40

【島村】この奇妙なデザインと高価さの為あまり関心が無かったが、適当に切り替えていったら偶々鳴ったので軽く触れる。

このサイズにしては低音も出ているし、そこからハイエンドに至るまで、どの帯域も漏らさず高密度に再生しているようだ。ただそれ故に音が硬いと言うか神経質というか、直ぐに聞き疲れしそうな印象。Generecが味気ないけどフラットだなあと思ったが、実はFocalがそれ以上にフラットで味気ないような気がした(^_^;)

HEDD Audio Type05

【島村】あまり聞いたことがない製品だけど、島村楽器に置いてあったので鳴らしてみたら余りにも鮮烈な音だった。

先ず低音のパワーが凄い。しかしADAMの包み込むような低音と違い、こちらはパンチを繰り出すような瞬発力のある低音。見た目にもウーハーユニットがビートに合わせて振動するのがはっきり判る。

中高域も強烈な低音に埋もれる事無く、パワフルで解像感も優秀。中域の密度感はADAMよりあるかも。ドイツのメーカーってこの蛇腹タイプのツィーターが好きだけど、これの超高音はADAMのようにチリチリした感じはなく良い意味で普通。

この製品はサウンドハウスでもアマゾンでも取り扱っておらず、発見できたのは島村楽器とRockONだけ。価格は1本6万円前後でADAMだとA7Xとほぼ同じだが、それなら僕はこちらの方が良いと思った。

あとがき

レビューを更新する度に評価が微妙に変わってしまい申し訳ない(特にMSP5)。店で使っているミキサー/スプリッターでこんなに音が変わるとは思わなかった。

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